感じた放射能のような千鶴子との結婚の夢の素質を信じたかった。
「しかし、カメラには夢はないからな。そこが僕らの一番困るところかもしれん。これから一つ夢を持ったり撮ったりする工夫をやるかな。」
 ひやかすつもりはなく塩野は塩野で、何か専門のカメラに関する特殊な技術をまた別に思うらしい様子で暫く黙った。少しも二人の話が触れ合うところがなくとも、互に知らぬ部分でそれぞれ触れ動いているもののあったのを矢代は感じ、事実とはこのような恐るべきものかもしれないと思ったり、さらにまた過ぎた夜のあの夢の実相を、これがこの世の美の極りの消えるところかとも思ったりするのだった。
「あなたはカメラが専門だから、夢なんか捨てて、もっとこちらの美しいところを写真に撮ってほしいな。夢なら、僕が代りに幾らでも見とくですよ。」
 と矢代は云って笑った。このときはもう、偽りもなく塩野を見て笑うことが出来たので彼も愉しかった。
 二人は塩野の全快祝いをかねた夕食を摂りに外に出た。千鶴子を見舞いに行こうかという話も出たが、入院しているならとにかく、まだ自宅にいるからは却って邪魔するだけだと相談して、それもとり熄めた。
 停留
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