な外面的な形式の部分ばかりで他国と触れ合うまでにすぎぬと思った。そんなら恐るべき人生の進行だ。――
「まったく困る。何んとかならぬものか、何んとか。」
このように考えているときでも、赤旗の流れはますます続いて来ていた。ぶるんぶるんと精悍な胴ぶるいをしているような、脂の満ち張った足並みで繰り出て来たのは、ひと目でこの日の行事の中心団体と目された一群だと分ったが、内臓を立ち割って日に晒し出したようなこれらの光景は、それはすでにもう伝統ではないものが、政治を掴み動かしているのと同じだった。しかも、先日までこれを制御していた洒脱な警官の群れは、自分の意志を隠し、政府の与えた命令のまま今日はこの行進の無事ならんことを護っている。
ふと矢代は、ここに法を守護するフランスの伝統を見たと思った。もしこの法の守護という精神が失われたら、このフランスから自由も失われたときであろう。――彼はそんなに思うとここまで押し転げて来たフランスの国の歴史と、自分の国の歴史の相違を合せ考えてみるのだった。
「サンゼリゼの方、三時半だって?」
と久慈は写真を一二枚とってから矢代に訊ね時計を見た。
「うむ、もう行こう
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