、もう舞台では空中に吊り下った月の輪を中心に、三つの弁となった人体のゆるやかな踊りが始まった。鳥の毛を頭にさした裸女の群れが、その皮膚を舞台いっぱいによせ合い、下からじっと月を仰いで動かぬ一面のローズ色の雲の形となり、静かに月に随って棚びき流れていく。すると、見るまに舞台いっぱいに拡った静かな雲の一端が、どっと溢れて客席の踊り場の中へ雪崩れ下った。そして、溌剌としたピッチの踊りに急変すると、旋回しつつ左右に分れてはまた一つに収縮し、月の吸引のまま再び舞台に逆流していった。その後を客たちは、潮にひかれる人の群れのように総立ち上って踊り場へ流れ込んだ。久慈は舞台の上と下とのそれらの踊りの合一していく壮観さに、思わず立って今度は千鶴子と組んで流れた。矢代も真紀子と組んだ。翻る度びに肩越しに閃めく真紀子の眼が青く光っては遠ざかりうっとりとした半眼でまた顕れる。舞台の空中の月は招くように銀色の輪から腕を延ばし、脚を廻し、雲と人とを見詰めては光りを放ち変えていくのだった。
「真紀子さん、今日はどんな御容子でして?」
 千鶴子は昼間の首尾も気がかりなのか胸を反らし、初めて久慈を仰いだ。
「なかなか平
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