こから愛国心が生れるので、そんなところがら生れて来る感情に近代も古代もないよ。」
「そこじゃないか。」と久慈はテーブルを叩いた。「そこのところに生じて来る心がてんでに誤りを冒すから、これこそ間違いを冒さぬという一点を索すのが合理的なんだ。その批評精神から愛国心が起ってこそ健全というべきだ。」
「いや愛国心に理窟はない。中国のインテリの誤りは理窟で抗日抗日ということだよ、抗日抗日と云われれば、そんならよしッとこっちは肚を定める。一ヵ所で肚を定めれば、どこもかしこも戦争だ。そんなときに合理的愛国心だから人を殺さぬの、殺すのといったところで、むかしより合理的ならもっと殺す、非合理なら寛仁大度という非合理の見本みたいなもので、サイン一つでうまく片づく。とにかく僕は合理的愛国心なんて不合理も甚だしいと思うね。そのくせ誰だって愛国心だけは持っているのだ。」
「愛国心というのは人前で云っちゃ一層不合理になるばかりだから、今夜はやめよう。高さんに気の毒だよ。」
久慈は高のコップにウィスキーを満してから、「今夜はお呼び立てしといてどうも。」と矢代の失態を詫びるつもりで高の方に会釈した。
「面白かったで
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