と思うと再び、真紀子の首をかすめんばかりに舞い群がって夕日の方へ飛び立ち、ぐるりとまた廻って北塔の方へ散ってゆく。
「あら、塩野さん危い、あんなとこ撮ってらっしゃるわ。」
真紀子に云われて久慈は見ると、塩野は裏口の方の脆い石の欄干から倒れんばかりに身を乗り出し、眼もくらむ真下の通りへカメラを向けていた。
「あの人、どうも今日は気違いだね。足を掴んでてやらないと、落っこちるぞ。」
と云って、久慈は塩野の方へ急いで歩いていった。
「もうこれや、フィルムが無くなりそうだ。困ったなア。」
塩野は久慈を見て一寸笑ってからまた欄干の上へ飛び移って、怪獣の頭の上に留っている鳩を狙った。久慈と真紀子は鳩を逃がさぬように動き停った。
「足でも持とうか。風化してるからごろっといくぞ。」
「そうだな。もう二度とここへは来れないんだと思うと、はらはらしてね。この怪獣だって、後ろから撮った写真は世界に一枚もないんだから、面白くてたまらないんだ。」
久慈は塩野のバンドを掴んで彼の写真の角度を一緒にすかしてみたりした。絞り十二で五十分の一である。怪獣を撮り終えた塩野は、次に御堂の屋根の中央の所で高く屹立して
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