、コップが揃っても誰も義理に一口つけただけで、気味悪さにそれ以上飲もうともせず話もしなかった。久慈らの傍へ初めに来た女らは部屋の隅に固まったきり、嫌われたことをさも羞しそうに悄れて俯向いたまま、青い灯の下でいつまでも黙っていた。これがもし本当の女だったらたしかにそんなに痛手であろうと思うと、久慈は不思議に女らの悲しげな様子がまた本当の女のように見えて来て、
「おや。」
 と一瞬自分を疑った。確実に男だと分っていながら、だんだん気の毒になっていく不安な気持ちの落ち方が、一種新しい未知の世界に踏み込むような錯覚を感じさせる。それが向うの手腕だと思っても、それぞれもうこれで男を越した女以上の理想の女になっているのかもしれない。
「もうたまらん。出よう。」
 と矢代は云った。そして、身を動かしかけたと見るや、今まで悄れていた女たちは、ぱッと飛び立つような早さでまた矢代にしなだれかかって来た。
「もう息が出来んよ。」
「何に? え? え?」
 と女は嫣然と笑いつつ片腕で矢代の首を抱きかかえて覗き込んだが、何も云うことがないと見えまた煙草をくれと彼にせがんだ。
 勘定台の女は遠くから女給たちの成績
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