の普遍性を求めて苦しんでいるときに、事物や民族の特殊性ばかりを強調しようとするんですよ。その点あなたは矢代と同じですね。矢代はまだあなたのように落し穴を造らないけれども、あなたと話をしていると、言葉の一般性というものが役に立たなくなるんですよ。実際あなたほど非論理的な人を、僕はまだ見たことがありませんね。そんな所に僕は進歩があるとは思えない。無茶だあなたは。」
「まア、食べてからにしようよ。何も僕は君の云うことは間違っていると云うんじゃないのだから。――君は将棊《しょうぎ》を知ってますか。」
と東野は急に頓狂な顔になって葡萄酒を飲んだ。
「何んです。また落すんですか。」
「うむ、落して見ようというのだ。落してみせるぞ。」
「いや、もう落ちん。」
と久慈はかぶりを振ってスパゲッティをフォークに巻きつけ急いで食べた。
「それじゃ駄目だ。落ちるべき所へは落ちて見なきゃ、科学主義には実が成らない。君は人の云ったりやったりした安全な所ばかりを、選んで歩こうというのですからね。ヨーロッパの科学というものは、皆落ち込む所へは落ち込んで来たからこそ、こんなに花が咲いたのでしょう。君は道に外れちゃい
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