ってカフェーを出て行った。矢代たちもトウリオンフを出てサンゼリゼを下へ下った。
硝子の鯉の塊った口から立ち昇っている噴水は、瓦斯灯の青い照明に煌き爆けた花火かと見える。その噴水から散る霧は一町四方に拡がり渡り、微風に方向を変えつつマロニエの花開いた白い森を濡らしていた。
この森のマロニエの老樹の見事さはまた格別だった。均整のとれた鋼鉄に似た枝枝の繁みが魁麗な花むらの重さを受けとめかねてゆったりと撓み、もう人人の称讃には飽き飽きしたという風情で、後継ぎのない悲しさもあきらめきった高雅な容姿だった。それはもう樹というものではない、人の知らぬ年齢を生き永らえまだ薄紅色の花をほころばせてやまぬ箴言のようなものだった。
矢代たちは砂道を歩いてコンコルドの広場へ出た。数町に渡った正方形の広場は、鏡の間のように光り輝き森閑として人一人通らなかった。その周囲を取り包んだ数千の瓦斯灯は、声を潜めた無数の眼光から成り立った平面のように寒寒とした森厳さを湛えている。
そこの八方にある女神の巨像はそれぞれおのれの文化の荘重さに、今は満ち足りて静かに下を見降ろし、風雨に年老いた有様を月と星とにゆだね、お
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