畠の中へ這入っていく。たしかに、このため農家の労働力は援助されてはいるが、これは農村機械化の初めである。もし誰か、ふと頭を上げて考えれば、もう戒壇院に火の燃え移っていることを見るだろう。しかし、それぞれ人間は年をとっていく。誰も若さをそのまま持ちつづけていることは出来ない。とすれば、米を喰いつづけて生きた標印《しるし》を、木牌一つに残したく思う祈願は人人から消えぬだろう。人に生きた標印をただ一つ許すことぐらいの寛大さは、いかなる非情な主知主義者といえども持ち合せているにちがいないその感情――感情をパスカルは神の恩寵物だという。そして、知性よりもこれを上段に置くのであってみれば、人に死のある限りはこの感情も消え失せまい。生ある限り知は消えぬごとくにだ。しかし、これらはすべて自分の緊急な問題に還って来るところ、農村の問題であるよりも個性の中の設問だろう。
私は毎日、農村研究をしているのだが、実は、私の目的はやはり人間研究をしているのだ。毎日毎日よく働く農夫に混り、働いても見ずして、農民研究は不可能である。私が働かないという弱点をもって眺め暮していることは、しかし、一つの大きな良い結果を
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