。電灯の消えた部屋は真暗で、炉の火だけ明明と揺れている。

 九月――日
 暴風はすんだ。稲は倒れてしまったが、雨が風に吹き込んでいたために、穂に重みが加わり、頭をふかく垂れ下げて互いに刺さり込みあったその結果、実が風に擦り落されずに済んだ。これが風だけだと擦れあい激しく、実が地に落ちてしまって去年のようになるという。しかし、稲の代りに野菜類の実がやられた。稲さえ無事なら先ず今年の米は不作としても、危機だけは切りぬけられたというものだ。

 暴風の後は上天気だ。米のない連中は早稲の刈り入れにかかっている。すでに刈り入れをすませてあった早稲の分は、充分だったといわれなくとも、何とか米にはなる程度に乾いている。少しの量だが、新米の出るまでの喰いつなぎには役立つほどだ。これで村から、死ぬ死ぬという声だけは聞かずともすむ。
「去年よりはまだましだ、去年は風ばかしだったでのう。」
 と、空を見上げ田を眺めて洩す明るい笑顔が見える。次ぎの雨の来ない今のうちに刈り取らねば――
「ああ、今年は早稲の勝ちだ。暴風にあわずにすんだのは早稲だけだ。」
 とそういうものもある。解除の軍隊の眠むそうな顔いっぱい
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