尚が見え、釈迦堂で農会の人たちと座談会をしたいから出席せよとの事だ。私は承諾してから松浦正吉君について和尚に訊ねた。正吉青年は横浜の工場から帰国後、村の因循姑息な風習を見て慨歎し、何とか青年の力で村を溌剌たらしめたいと念じている一人だとの事だが、どこから手をつけて良いのか企画の端緒が見つからない。和尚も青年たちの情熱には大いに賛成らしく、このままあの青年たちを腐らせたくはないという。
 和尚の帰ったあとで、参右衛門は、青年たちの新しい意気についてこういう。
「あんな、十九や二十のあんちゃんら、何にやったて、駄目なもんだ。ふん。」
 これは五十歳前後の年齢線のいうことだが、村では、五十歳の壮年でも実権は彼らにはなく、先ず六十歳から七十歳の老人連で、それも村一番の地主の弥兵衛の家の、八十になる長老一人にあるらしい。
「あの人がうんと云わねば、何一つ出来やしない。他のものらは、一升でも二升でも、ただ余けいに取ろうと思うてるだけなもんだ。その他のことは、何にも分りやせん。」
 落葉の降り溜るように、それはそのようになってきたものがあったからだろう。その他のことを要求するには、正吉青年のようにす
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