。最早懐疑と凝視と涕涙と懐古とは赦されぬであろう。その各自の熱情に従って、その美しき叡智と純情とに従って、もしも其爆発力の表現手段が分裂したとしたならば、それは明日の文学の祝福すべき一大文運であらねばならぬ。そうして、明日の文学は分裂するであろう。大いなる酒神は、かの愚な時計の振り子の如く終始末期を連続しつつ反動する文化を、美しく平和の歴史の殿堂に奉納するであろう。今や明日の文学は、その終局の統率的使命を以て、健康に剛健に、朗々として政治を併呑しなければならない。黙示の頁を剥奪すべき勇敢なる人々は、大いなる突喊《とっかん》の声を持たねばならぬ。



底本:「日本の名随筆 別巻100 聖書」作品社
   1999(平成11)年6月25日第1刷発行
底本の親本:「定本 横光利一全集 第一四巻」河出書房新社
   1982(昭和57)年12月
入力:加藤恭子
校正:門田裕志、小林繁雄
2005年5月3日作成
青空文庫作成ファイル:
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