し皆夏目さんの後を継ぐことはできない傾向の人ばかりのように思う。ただ一人|此処《ここ》に挙ぐれば、現在は中央文壇から遠ざかっているけれども、大谷|繞石《じょうせき》君がいるだけである。この人は夏目さんの最も好い後継者ではあるまいか。
 そしても一つ付加えれば、夏目さんは、殆んどといっても好い位い西洋の新らしい作を読んでいないと思う。
 それは三、四年前に、マローの『ファウスト』とかスペンサーの或る作とかを頻《しき》りに耽読していられた事から見ても解るであろう。



底本:「日本の名随筆 別巻75・紳士」作品社
   1997(平成9)年5月25日初版発行
底本の親本:「内田魯庵全集 第四巻」ゆまに書房
   1985(昭和60)年11月
入力:葵
校正:小林徹
2001年4月6日公開
2003年5月25日修正
青空文庫作成ファイル:
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