る月《つき》を奪《うば》はんとする山猿《やまざる》よ、無芸《むげい》無能《むのう》食《しよく》もたれ総身《そうみ》に智恵《ちゑ》の廻《まは》りかぬる男《をとこ》よ、木《き》に縁《よつ》て魚《うを》を求《もと》め草《くさ》を打《うつ》て蛇《へび》に驚《をどろ》く狼狽《うろたへ》者《もの》よ、白粉《おしろい》に咽《む》せて成仏《じやうぶつ》せん事《こと》を願《ねが》ふ艶治郎《ゑんぢらう》よ、鏡《かゞみ》と睨《にら》め競《くら》をして頤《あご》をなでる唐琴屋《からことや》よ、惣て世間一切の善男子[#「惣て世間一切の善男子」に傍点]、若し遊んで暮すが御執心ならば[#「若し遊んで暮すが御執心ならば」に傍点]、直ちにお宗旨を変へて文学者となれ[#「直ちにお宗旨を変へて文学者となれ」に傍点]。
我《わ》が所謂《いはゆる》文学者《ぶんがくしや》とはフィヒテ[#「フィヒテ」に傍線]が“Ueber《ユーバル》 das《ダス》 Wesen《ウエーゼン》 des《デス》 Gelehrten《ゲレールテン》”に述《の》べたてし、七むづかしきものにあらず。内新好《ないしんかう》が『一目《ひとめ》土堤《づゝみ》』に
前へ
次へ
全27ページ中2ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
内田 魯庵 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング