しいと思ふ。昔或る僧侶が幕府に獻言し、枝一本腕一本とかいふ嚴しい法度《はつと》を作り、この松原を育てゝその蔭の田畑の潮煙から蒙むる損害を防いだものであるさうだ。
この松原を詠んだ拙い自分の歌を添へてこの案内記を終る。
[#ここから3字下げ]
むきむきに枝の伸びつつ先垂りてならびそびゆる老松が群
風の音こもりてふかき松原の老木の松は此處に群れ生《お》ふ
横さまにならびそびゆる直幹の老松が枝は片なびきせり
張り渡す根あがり松の大きなる老いぬる松は低く茂れり
松原の茂みゆ見れば松が枝に木がくり見えて高き富士が嶺
末とほくけぶりわたれる長濱を漕ぎ出づる舟のひとつありけり
[#ここで字下げ終わり]
底本:「若山牧水全集 第七卷」雄鷄社
1958(昭和33)年11月30日発行
入力:柴 武志
校正:浅原庸子
2001年6月14日公開
2005年11月16日修正
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全7ページ中7ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
若山 牧水 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング