の黒い蟲のかたまりに一撃を喰はした。そして續けさまにぴしや/\と叩きつけて一切を其處から遠くはたき落してしまつた。
僅かの事にも波立ち易くなつてゐる自分の心持を鎭めるために、私は心を入れて机の上の雜誌を讀まうとした。耳に入るは蝉の聲である。さながら軒端から射す雲の光の中に電氣でも通つて居る樣に、ひり/\ひり/\と耳から頭に響いて聞えて來た。
底本:「若山牧水全集 第七卷」雄鷄社
1958(昭和33)年11月30日発行
入力:柴 武志
校正:浅原庸子
2001年4月4日公開
2005年11月10日修正
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