の隅に折から一挺の大鎌ありなんぢが意志をまぐるなといふが如くに
新たにまた生るべしわれとわが身に斯くいふ時涙ながれき
あるがままを考へなほして見むとする心と絶對に新しくせむとする心と
ともし斯くもするはみな同じやめよさらばわれの斯くして在るは
いづれ同じ事なり太陽の光線がさつさとわが眼孔《がんこう》を拔け通れかし
感覺も思索も一度切れてはまたつなぐべからず繋ぐべくもあらず
日を浴びつつ夜をおもふは心痛し新しき不可思議に觸るるごとくに
言葉に信實あれわがいのちの沈默よりしたたり落つる言葉に
さうだあんまり自分の事ばかり考へてゐたあたりは洞穴《ほらあな》の樣に暗い
自分の心をほんたうに自分のものにする爲にたび/\來て机に向ふけれど
自分をたづぬるために穴を掘りあなばかりが若し殘つたら
何處より來れるやわがいのちを信ぜむと努むる心その心さへ捉へ難し
眼をひらかむとしてまたおもふわが生《よ》の日光のさびしさよ
死人の指の動くごとくわが貧しきいのちを追求せむとする心よ
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といふ樣なのがあるかと思へば、また、
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ふと觸るればしとどに搖れて影を作る紅ゐの
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