出たとは?」
 帆村の眉がピクリと動いた。
「いえーな、それがつまり妙やなアとは思ってましたんですわ。詳しくお話せにゃ分ってもらえまへんが、あれは午後四時ごろやったと思いますが、この帳場へ電話が懸って来ましてん。懸ってみますと男の声でナ、いま玄関を出ると庭に西洋封筒を抛《ほう》りこんであるさかい、それを拾って帆村さんに渡しといて呉れ――と、こないに云うてだんネ。そして電話はすぐ切れました。なにを阿呆らしいと思うたんやけど、まあまあそんにして玄関の外に出ましたんや。するとどうだす、電話のとおりに、砂利の上にあの西洋封筒が落ちていますやないか。ハハア、こらやっぱり本当やと思って、それで拾って、お客さんにお届けしたというような次第だす」
 帆村はそれを聞いて、たいへん興味を覚えた。ホテルの庭に置いた手紙を、拾ってくれと帳場に電話をかけたというのは、これは決して普通のやり方ではない。とにかくそれが事実にちがいないことは、封筒に附着していた泥を見てもしれる。それが本当だとすると、この奇妙な脅迫状の配達方法のなかに、なにか深い意味があるものと見なければならぬ。
 さて、それは、いかなる深い意味をも
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