を見るには見たが、人間を頭から呑んでいる程の膨《ふく》れた腹をした蟒が居なかったので、それで安心していたものと思う。あの特殊装置というものの中には、きっと血染《ちぞめ》になった園長の服とか靴とかが隠匿されているのではなかろうか。万年筆は、園長を館の入口で絞《し》めあげるときに落ちたもので、それを後に何かの事情があって遺失品《いしつひん》として届けたものであろう。
しかし今横に並んで歩いている西郷副園長が、この万年筆について不審な行動を演《や》っているのにも気がつかないわけではない。第一に三十日の遺失品として届けられたものなら、直ぐにも疑って調べなければならないのが、今まで黙っていたし、一と目みれば園長のものだ位は判りそうなものを何故《なにゆえ》口を閉めていたのか、嫌な眼付で帆村を覗いたところと云い、ひょっとしたら西郷がすべてを画策《かくさく》し、嫌疑が鴨田にかかるように、わざと爬虫館の前に落して置いたのではあるまいか。園長殺害の方法も死体も判らぬが、原因は勤務上の怨恨《えんこん》又は、失恋でもあろう。そう思って西郷の横顔を見ると、どこやら悪人らしいところも無いでは無かった。
しかし
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