当然死刑だ。どうするつもりじゃ」
「はあ、もう一戦、やってみます。が、なにしろ、敵は何国の軍隊ともしれず、それに中々|手剛《てごわ》いのであります」
「あの、骸骨の旗印からして、何国軍だか、見当がつかないのか」
「はあ、骸骨軍という軍隊は、いかなる軍事年鑑にも出ていませんので……」
「そりゃ分っとる。しかし、何かの節から、何処《どこ》の軍隊ぐらいの推定はつくであろうが……」
「はあ」
と、スクリーンのうえのZ軍団司令官は、女のように、もじもじと身体をくねらせていたがやがて大決心をしたという顔付になって、
「大総督閣下。では、小官から一つのお願いをいたします」
「願い? 誰が今、貴官の願いなどを、聞いてやろうといったか」
「いえ、いえ。閣下のおたずねの件を、小官のお願いの形式によって、申し述べます。でないと、万一、間違った意見を述べましたため、銃殺にあいましては、小官は迷惑をいたしますので……」
「ふん、小心な奴じゃ。じゃあ、よろしい。貴官の希望するところを申し述べてみろ」
「はい、ありがとうございます」
と、司令官は、うれしそうに、スクリーンの中から、ぴょこんとお辞儀《じぎ》をして、
「では、早速申上げます。小官のお願いの件は、こういうことでございます。どうか、閣下の御命令によりまして、キンギン国の女大使ゴールド女史の身辺を御探偵ねがいたいのであります」
「なに、ゴールド大使の身辺を探れというのか。それはまた、妙なことをいい出したものじゃ」
と、大総督は、太い髭《ひげ》を左右へ引張って、首をふったが、
「よろしい、その願いは聞き届けた。早速しらべさせて貴官にも報告しよう。もう、下ってよろしい」
スイッチは切られ、司令官の姿は、スクリーンから消えた。
とたんに、別のスイッチが入れられ、秘密警察隊の司令官ハヤブサに、ゴールド大使の身辺調査の命令が与えられた。
「ああ閣下。ゴールド大使の身辺は、只今、隊員をして監視中でございます。なにしろ、この前のお叱りもありましたので、あれから直《す》ぐ、ゴールド大使に、わが腕利《うでき》きの憲兵をつけてこざいます」
「そうか、それは出来が悪くないぞ。では、すぐ報告ができるだろうな」
「はい、それは勿論、出来ます。では、直ちに、かの憲兵の持っている携帯テレビジョンからの電流を、閣下の方へ切りかえます」
「そうしてくれ。早くやる
前へ
次へ
全38ページ中18ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング