したことはありませんよ。ほら、この動物をごらんなさい」
 氏はいつだが持っていた動物図鑑を余の前に開いてみせた。氏の機械腕が指さした図を見るとそれは小さいときから余らになじみ深き象であった。
 大発明のタネは、きわめて身辺に転がっているのだ。ただ、その人が、気がつかないだけのことである。



底本:「十八時の音楽浴」早川文庫、早川書房
   1976(昭和51)年1月15日発行
   1990(平成2)年4月30日2刷
入力:大野晋
校正:福地博文
2000年3月8日公開
2006年7月20日修正
青空文庫作成ファイル:
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