誤りなしじゃ。それに、ここに信ずべき確証もある」
 といって、元帥は、卓子《テーブル》のうえの電文|綴《つづり》の上に、大きな手を置いた。
「どうも仕方がないのだ。狙われるだけの価値があるのじゃ。わが大東亜共栄圏は、三十年来の建設的努力が酬いられて、ついに今日世界の宝庫となるに至ったのだ」
 元帥の眉が、ぴくんと動く。
「米連と欧弗同盟とは、戦闘開始の一歩前に、このどんでんがえしの盟約を行ったのである。白人の外交は、いつの世にも、あまりに複雑怪奇である」
「すると、白色人種と有色人種との間に、歴史的な、そして宿命的な戦闘が始まるのですか」
 私は、そのように聞かずにはいられなかった。
 元帥は、私の鋭い質問に対しては、直接には応えず、
「白色人種だの有色人種だのという区別を考えることが、既におかしいのである。だが、白人の中には、或る利己的な謀略上、そういう考え方を宣伝する悪い奴がいるのだ。われ等有色人種の道義としては、全く想いもよらないことだが、白人の中には、有色人種を今のうちに叩いておかなければ、やがて有色人種のため、白色人種が奴隷になってしまう日が来ると、本気でそう信じている者がい
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