ういう主人のことばに対しては、何もこたえる仕掛けにはなっていなかったのである。
 東京で、私を迎えてくれるのは、一体誰であろうか。
 それは、もちろん私を招いた人であるが、その人こそ戦軍総司令官の鬼塚元帥《おにづかげんすい》であったのだ。
 今こそ、一切をここに書くが、私――黒馬博士は、国防上の或る重大使命をおびて、クロクロ島に乗り込み、はるばる例の西経三十三度、南緯三十一度というブラジル沖に派遣されていた者である。その使命が、あからさまにいって、どんなことであったか、それを話せば、どんな人でも、呀《あ》っといって腰をぬかすことであろうが、残念ながら、まだ書く時期が来ていない。いずれそのうち、だんだんと分ってくることであろう。
 とにかく私は、クロクロ島において、その重大使命の達成に、ようやく手をつけ始めたばかりのところで、とつぜん鬼塚元帥からの招電《しょうでん》に接したのであった。元帥の用向きは、一体なんであろうか。
 それは、尋常一様《じんじょういちよう》のことではあるまい。それだけは、容易に予想できる。もしそうでなければ、折角《せっかく》あのような重大使命をさずけて特派した私を、
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