、切断されてしまった。つまり前部煙突のところから後が、切断されて、無くなったのであった。尤《もっと》も、その切断された半分が、海上へ墜落していくところは見えなかったが……。
「あっ、もう、よしてくれ。もう、わかった。お、黒馬博士。これ以上、艦隊のうえに、怪力をふるうのは許してくれ」
“今さら狼狽するのは見苦しいぞ。なぜ初めから、わが申し入れに応じないのか”
 そういっているうちに、戦艦オレンジ号の艦隊の半分も見えなくなった。戦艦一隻が、一、二分の間に見えなくなってしまったのである。……
 室内では、警報ベルがしきりに鳴っている。そして入口の扉は、破れんばかりに、うち叩かれている。怪事は、果然《かぜん》、米連主力艦隊を大恐慌《だいきょうこう》の中に抛《な》げこんでしまった。


   恫喝《どうかつ》代行――人間でなければ彼は何者ぞ?


“ピース提督、改めて聞こう。欧弗同盟軍に対し砲門を開くかどうか”
 X大使の、膝づめの談判だった。
「うむ。黒馬博士が、もうこれ以上、わが艦隊に害を加えないと約束されるなら、余は、欧弗同盟軍を攻撃するであろう」
“約束とは、何だ。約束とは、対等の位置の
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