くった小さい人形がにぎられている。
「これがお前を苦しめていた悪霊じゃ。わしが、こうして取出してやったぞ。どうだ、おまえの痛みはとまったろう」
女はこのクイクイの神の言葉に、はっとして胸をおさえてみた。するとどうだろう、ふしぎにも痛みはけろりとなおっていたではないか。今にも死にそうだった女は、別人のように元気になってすっくと立ちあがり、クイクイの神にお礼をのべて、その場で手足をふりながら踊りだした。
これをみた原地人たちは、いよいよクイクイの神に、おどろきとおそれの言葉をささげた。
ひとり腹の中でおかしくてたまらぬのは、クイクイの神さまになりすましている漁夫の三浦だった。彼の手品にすっかりおどろいてしまった女は、ほんとに病気の悪霊を、この神さまがとりのぞいてくれたものと思いこんで、すっかり病気がなおったのである。「つまり精神療法というやつさ」と三浦はとくいで、せい一ぱいしかつめらしくかまえていた。
売られゆく神さま
「われわれロップ族は、ぜひクイクイの神を買うことにする」
ロップ島の酋長ロロが、ミンミン島の酋長ミンチの肩をたたいていった。
酋長ミンチは、それをきくと、ぐっと胸をそらして、
「よし、いよいよ買うか。では、そのかわり、わしがほしいといったものを、こっちへよこすか」
「それは承知した。ちゃんと持ってきてある。これこのとおりだ」
酋長ロロがとりだしたのは、なんと一枚のやぶれたシャツだった。
「おう、それだ。わしがほしくてたまらない物は!」
酋長ミンチは、破れシャツをひったくった。
「おう、これこれ、すばらしい宝物だ」
ミンチは破れシャツをなでまわして、よだれをこぼさんばかりの喜びようだ。
「では、こっちは、クイクイの神をもらってゆくぞ」
「たしかに、とりかえた」
破れシャツ一枚とクイクイの神との取りかえっこだ。
クイクイの神は、これをきいてがっかりした。自分の体が、破れシャツ一枚にかえられるとは、なんというなさけないことだと思った。
ロップ島の原地人たちは、クイクイの神を手に入れて大喜びである。これでこそ、はるばる遠い波の上をここまでやってきたかいがあったと、たがいに顔を見合わせ、きいきいごえを出してうれしがっている。
それからすぐに、クイクイの神こと三浦須美吉は、ロップ島の原地人にまもられて、酋長ミンチの椰子の木の家か
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