しくなって、たちまち、隊員たちにとりおさえられてしまった。
「はははは、見かけによらない弱虫の大佐どのだ」
隊員たちは、あざけり笑いながら、太刀川の両腕をとって、リーロフの前にひきすえた。
リーロフは、ますますごきげんであった。
「わっははは、貴様は当番の一等水兵マーロンだといったな。潜水兜をきているのでは、どこのどいつか顔が見えない。顔を見てから、話をつけてやる。おい、みんな、はやくこいつの兜をぬがしてみろ」
リーロフは、太刀川の潜水兜に自分のをよせて、ごつんごつんと、いじのわるい頭づきをくれた。
その時、
「ええい!」
はげしい気合が、太刀川の口をついてでた。
彼は、この時のくるのを、さっきから待っていたのだ。
「ああ――」
「うむ!」というさけび。
太刀川は、満身の力を両の腕にこめて、隊員たちにつかまれている腕をふりほどいたのだ。
それはまったくの不意だったから、隊員たちは力をいれなおすひまもなく、ふりとばされてしまった。そのうえ、ごつーんと、はげしく仲間同士の鉢あわせ。頭がくらくらとした。
と同時に、
「やったな、こいつ!」
「なにを!」
という声、はげしいもみあいがはじまっている。それは副司令リーロフと太刀川の一騎うちであった。
あっと隊員たちが目をみはる前で、二人はビールだるのような胴中をぶっつけあいながら、上になり下になりしているのだ。
「このやろう!」
「このやろう!」
どちらも、おなじことを、いいあっているので、隊員たちは、しばしあっけにとられながら、この妙なかけあい合戦を見まもっていたが、
「おい、ああしてとりくんでいるが、どっちがリーロフ大佐なのかね」
「いや、おれにも、どっちがどっちか、わからなくて困っているんだ」
すばらしい知恵
太刀川青年の作戦計画は、どうやら図にあたったようである。
彼があやういせとぎわで、思いついたのは、リーロフの潜水服と彼の潜水服とが、まったく同じものであることであった。それを太刀川は、うまく利用してリーロフととっくみあいをはじめ、上になり下になりして、隊員たちの目をごまかしたのである。潜水兜の顔を正面からのぞけばいいようなものだが、そんな失礼なことをすると、あとでどんなお目玉をちょうだいするかわからない。ただ二人の言葉を気をつけてきけばわかりそうなものだが、これも、二人がお
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