拳銃が一せいに太刀川の胸をねらって、ぴたりと、とまったのである。
室内にみなぎるすさまじい殺気。
ああ、快男児太刀川時夫も、ついに最期《さいご》の時が来たのか。
もとより国にささげた体なら、すてる命は惜しくない。だが、太平洋の底には、日本をねらう恐るべき海底要塞が、夜を日についで建造をいそいでいるのだ。自分が死んだらその秘密は誰が祖国に知らすのだ。
一秒、二秒、三秒……
息づまるような無気味な瞬間だった。
ぶぶう――、ぶぶう――
突然、耳をつんざくけたたましい非常警報のサイレンが鳴り出したのである。
「あ」
扉のそばに立っていたリーロフが叫んだ。
つづいて何やらわめき合う人声、どたどたどたどた混雑する足音が、廊下の方から聞え出した。
ケレンコは、さっと立ちあがって、
「おい、リーロフ、君は、太刀川をこの部屋に閉じこめて見張をつけておけ、わが輩は、司令室に行く、手配がすんだら君も後からすぐにやって来い」
そういいすてて、ケレンコは、とぶようにして部屋を出て行った。
一たい何事が起ったのか。
海底司令室
ぶぶうー、ぶぶうー。
妙に心をかきみだすようなサイレンの音だった。
ケレンコは、あわただしく司令室にかけこんだ。覆面、黒服をとると、海底要塞司令官の軍服姿だ。
司令室は見るからにいかめしい部屋で海底要塞のありとあらゆる械械をうごかす仕掛が、あつまっていた。その仕掛はすりばち山みたいに、うずたかくつみ上げられていた。そのまわりを、階段が下からぐるぐるとまわって頂上にとどいている。それぞれの仕掛の前には、当番の将兵がとりついて、ハンドルをにぎりしめ計器の針をみているが、すこぶるおちつかない様子だ。
そこへケレンコがとびこんできたのだ。彼は機械の山の階段を、するするとよじのぼり、頂上にすっくと立ちあがった。そこが彼のためにつくられた司令席だった。
「おお、ケレンコ閣下だ!」
当番の将兵は、すくわれたように叫んだ。それを、さげすむように聞いて、
「腰ぬけどもが、洋上に軍艦があらわれたぐらいで、なんというとりみだし方だ」
ケレンコは、仁王様のような顔つきで、はらだたしげにどなった。
「でも、委員長、すばらしく、はやい大型駆逐艦隊ですぞ。しかもわが要塞へ向けて、一直線で近づいてくるのですからね」
そういったのは、ケレンコのすぐ下
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