ャンウーが、店さきに坐って、スッパスッパと水煙管《みずぎせる》を吸っていた。なるほど、孔子さまのように長いあごひげを生やして、トマトのように血色のよい顔をしたチャンウーは、殺されたチャンフーにそっくりだった。ただ、ちがっているのは、チャンフーは眼鏡をかけていなかったが、双生児のチャンウーは、黒い大きな眼鏡をかけている。あんまり似ているといわれるので、あるいは区別をつけるために、わざとそんな眼鏡をかけているのかも知れない。
チャンウーは眠そうな眼をして、さっきからぼんやり店に坐っていたが、どうやら客もないらしいと考えたのか、ノロノロ立って、おくの一間へ入っていった。そして、なかからピンとドアに鍵をかけると、これはいったいどうしたことか、いままで眠そうな眼をしていたチャンウーの顔色が、急にいきいきしてきた。眼鏡のおくでふたつの瞳が、にわかにキラキラかがやいた。
チャンウーは、油断なくあたりを見廻すと、壁にかかったスペインの帆船《はんせん》をかいた、油絵の額《がく》をはずした。それから、壁のどこかを押すと、そこにパックリ小さい孔《あな》があいた。金庫なのだ。かくし金庫なのだ。
チャンウーはもういちど、鋭い眼であたりを見廻すと、やがて金庫をさぐって、なかから小さいビロードばりの箱を取りだした。そして、金庫をとじ、額をもとどおりにかけおわると、大事そうにビロードの箱を持って、机のまえまでやってきて腰をおろした。
それから、眼鏡をかけなおし、ビロードの小箱のバネを押すと、ピンと蓋《ふた》がひらいて、なかから現れたのは、おお、なんと、黄金《おうごん》メダルの半ペラではないか。
チャンウーは、もういちど素速《すばや》い視線をあたりに投げると、ううんと深いいきを吸い、それからくいいるように、その半ペラに見入っていた。それはたしかに、海賊デルマののこした黄金メダルのうち半月形《はんげつけい》の部分である。
しかし、これはいったい、どうしたというのだろう。半月形のその半ペラは、戸倉老人から春木少年の手にうつり、のちにひげづら男の姉川五郎に掘り出されて、骨董商チャンフーに売られ、さらにそれを、机博士が買いとって自分の肩の肉のなかに、かくしておいたはずではないか。
そうすると黄金メダルというのは二つあるのだろうか。
それはさておき、チャンウーは鉛筆片手に、字引きと首っぴきで、
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