の二少年のほうから話をすすめていこう。
 危《あやう》く四馬剣尺の魔手《ましゅ》からのがれた、春木、牛丸の二少年は、つぎの日、山をくだると、そこで後日《ごじつ》を約して戸倉老人とわかれた。
 そして無事にわが家へかえりついたが、そのとき、牛丸平太郎のお父さんやお母さんが、どのように喜んだか、春木少年に対して、どのように感謝したか、それらのことはあまりくだくだしくなるから、ここでは書かないでおくこととする。
 さて、それから当分、二人の身のうえに、別に変ったこともなく、毎日、楽しく学校へ通っていた。学校では、二人はすっかり英雄にまつりあげられ、みんなからさかんに話をせがまれた。ことに少年探偵を結成しようとしていた、小玉《こだま》君や横光《よこみつ》君、それに田畑《たばた》君などは、春木少年ひとりにだしぬかれたことをくやしがって、こんど何かあったら、きっと自分たちも、仲間に入れてくれとせがんだ。春木、牛丸の二少年はむろんそれを承諾《しょうだく》した。
 こうして幾日か過ぎた。春木、牛丸の二少年の身辺《しんぺん》には、依然として平穏《へいおん》な日がつづいた。いずれ落着いたら、便りをよこすといっていた戸倉老人からもどうしたものか音沙汰《おとさた》がなかった。
 ところがある日、春木少年が学校へいくと、牛丸平太郎がまじめくさった顔をしてそばへ寄ってきた。
「春木君、ちょっと。……」
「牛丸君、なあに」
「妙なことがあるんや。ほら、あの万国骨董商《ばんこくこっとうしょう》な」
「うんうん、チャンフーの店か」
「そやそや、あの店がまた、ちかごろひらいたんやぜ。ぼく昨日、海岸通りへ使いにいったついでに、あの店をのぞいたところ、表がひらいていて、ちゃんとそこに、チャンフーが坐っているやないか。ぼく、びっくりして、胆《きも》っ玉《たま》がひっくりかえった」
「馬鹿なことをいっちゃいけない。チャンフーはピストルで撃たれて、死んだはずじゃないか」
「そやそや、それやのに、そこにちゃんと、チャンフーがいるんや。どう見てもチャンフーにちがいないのや。ぼく、てっきり幽霊かと、おっかなびっくりで近所のひとにきいてみたんやが、なんと、店にすわっているのは、チャンフーやのうて、チャンフーの双生児《ふたご》の兄弟で、チャンウーちゅうのやそうな」
「へへえ、チャンフーには双生児の兄弟があったの」
 春木
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