えは、外国の船員に変装して、黄金メダルを買ったのだ。顔の大きな刀傷は、できるだけ、素顔《すがお》をかえるために、絵具《えのぐ》でかいた贋物《にせもの》だったんだ。どうだ机博士、面白い話じゃないか」
首領《かしら》四馬剣尺は、大きな腹をゆすってわらった。机博士は、まるでおいつめられた野獣《やじゅう》のような顔をして、三重ヴェールを見つめていたがやがてキーキー声をふりしぼって叫んだ。
「わかった、わかった、わかったぞ」
細い指を、首領の鼻さきにつきつけると、
「問うに落ちず、語るに落ちるとはこのことだ。チャンフーを殺したのはXだ。そして、Xとは首領、おまえのことなのだ」首領はしかし、せせらわらって、
「バカをいえ。おれがこの大きな図体で、町を歩いていたらどんなに人眼をひくことか……聞いてみろ、チャンフーの店は、野中《のなか》の一軒家じゃあるまいし、隣もあれば、近所の眼もある。横綱《よこづな》のような大男が、あの日、チャンフーの店の近所をあるいていたかどうか、誰にでもきいてみろ」
自信にみちた首領のことばに、机博士はいっぺんにペシャンコになった。
「それ、木戸、波立二、なにをぐずぐずしている。そいつを早く、裸にしないか」
言下《げんか》に、木戸と波立二が、机博士をとりおさえた。そして水ガモのように細いからだで、キーキー声をあげて抵抗する机博士を、またたくうちに素っ裸にした。
博士は猿股《さるまた》ひとつになって、コンニャクのようにブルブルふるえている。そのからだを、三重ヴェールのおくから、きっと見つめていた四馬剣尺は、ふいに、椅子の腕をたたいてわらった。
「あっはっは、さすがは机博士だ。人間金庫とは考えたな。おい、左の肩にあるその傷口はどうしたのだ」
机博士はあっと叫んで左の肩をおさえた。しかし、それはおそかった。左の肩に、少し盛りあがった傷口は、まだ新しくて、生々しかった。
四馬剣尺はギラリと、青竜刀《せいりゅうとう》をぬき放つと、
「机博士、おまえはわざと左の肩に傷をつけ、そのなかに黄金メダルの半ペラをおしこみ、そのうえを縫合《ぬいあわ》したのだろう。いま、おれが、その金庫をひらいてやろう」
四馬剣尺は、青竜刀をひっさげて、ゆらりと椅子から乗出したが、そのときだった。あわただしい足音がちかづいてきたかと思うと、
「首領、たいへんです。たいへんです。警官
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