《こじり》の小屋が、豆つぶほどに見える。
(ここまでくれば、もう大丈夫だ)
と、三人が三人とも、そう思った。入日《いりひ》の残光《ざんこう》が急にうすれて、夕闇《ゆうやみ》が煙色《けむりいろ》のつばさをひろげて、あたりの山々を包んでいった。と、東の空に、まん丸い月が浮きあがった。満月《まんげつ》だ。三人は危険《きけん》の身の上をしばし忘れて、ほのぼのと明るい月に向きあっていた。
その夜、戸倉老人は、春木少年から黄金《おうごん》メダルに関するこれまでの話を聞き、少年が思いがけない苦労をしたことに深い同情のことばをかけた。そのあとで老人は二少年から問われるままに、海賊王デルマがこしらえた黄金メダルの二片について、彼の知っているだけの秘話《ひわ》を月明《つきあかり》の下で物語った。
「わしも、デルマの黄金メダルの秘密について、全部を知っているわけではない。もし全部を知っているものなら、こんなところにぐずぐずしていないで、さっそく宝を掘りあてることに夢中になっているはずじゃ。正直なところ、わしはデルマの黄金メダルの秘密については、おぼろげながらその輪廓《りんかく》を多少聞きかじっているにすぎない。かんじんの秘密は、どうしても例の黄金メダルの二片を集めた上でないと解《と》くことができないのじゃ。だからわしの話も、あんがいつまらんことなのじゃ」
と、老人は二少年の熱心な顔を見くらべた。
「この前、春木君に渡した絹《きぬ》ハンカチは火に焼けて、三分の一しか残らなかったそうじゃが、わしはその文句を宙《そら》でおぼえている。ちょっとこの紙に書いてみよう」
そういって老人は、ポケットから、チョコレートを包んであった紙をだし、そのしわをのばした。それから鉛筆の短いのを取出し、その先をなめるようにして次のような文章を書いた。
かっこ[#「かっこ」に傍点]で囲んだところは、春木君の手にのこった焼けのこりの部分に残っていた文字である。
[#ここから3字下げ]
――この黄金メダルは二つの破片
より成るものにして、スペインの海
賊王デルマが死の床において、彼の
部下のうち最も有力なるオクタンと
(ヘザ)ールとに各々一片ずつを与え
(たる)ものなりと伝う。この破片を
(二つ合)わせたるときはデルマの秘
(蔵する宝)庫の位置およびその宝庫
(の開き方を知)ることを得るよしな
(り。オクタン
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