使に近かったといった方がいいかもしれない。彼女は文字どおり一糸をもまとわない裸身を別にはじらうでもなく、一行の方を向いてにっこりと笑ってみせた。
「これは素晴らしい美人だ!」ミルキ閣下は好色な喜悦をあけっぱなしに叫んだ。「その女、名前はなんという」
「アネットという名がつけてございます」
とバラが少女に代って返事をした。
「なに、アネットというのか。相当いい名前だが、もっと似合のやさしい名前を与えてやった方がいいと思うぞ」
「しかし閣下、誤解なすっちゃいけませんよ。アネットは人造人間です。身体をよく見てやって下さいまし」
「なんだって。身体を見ろというのかい」
ミルキ閣下は目を皿のようにして、アネットの全身をジロジロと探りまわした。
「おお、そうか」
閣下の目が下の方に下がってきたとき、彼は思わずにが笑いをした。そこに人間として未完成な部分を発見したが故だった。
「――ではちょっとご説明いたします。この部屋に飼ってあるものは、いずれも博士コハクの試作生物です。こっちの小豚のような四つ足は身体と内臓とが人造肉によって作られ、そしてシェパードの脳髄を移し植えたものでございます。それか
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