とを発見するだろうか。その油断に乗じて、どかーんと一たび爆発すれば、相当な損害を与えることが出来る。だから、時限爆弾は長期のものほど大いによろしいのである」
「なるほど。で、もう一つ伺《うかが》いたいのはその、長期性時限爆弾の正味《しょうみ》ですが、その実体はどれくらいの大きさのものでしょうか。定《さだ》めし、ずいぶん小さいのでしょうなあ」
「時限爆弾の大きさかね。それは大きいのも小さいのもいろいろ有るがね。今まで造ったうちで極《ご》く小さいものというと、婦人の持っているコンパクトぐらいじゃね。わしが今|覚《おぼ》えている第88888号という時限爆弾は、金色燦然《こんじきさんぜん》たるコンパクトそのものである。パウダーの下に、一切の仕掛けと爆薬とが入れてある」
「それは危険ですね。金色のコンパクトで、第88888号でしたね。さあ、なんとかして、その運の悪い貴婦人に警告してやらねばなるまい」
「なんだって。こら、貴様は、劉洋行かと思っていたら、いつの間にか相手が変っていたんだな。け、怪《け》しからん。とうとうわしから時限爆弾のことを聞き出し居った。ここな、卑劣漢め!」
「いや、お待ち遠さ
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