ゲンバクダン》」ニ関スルモノニシテ、左記《サキ》ニ列挙《レッキョ》シアル十二個ノ物件《ブッケン》ハ、イズレモ来《キタ》ル十二月二十六日ヲ以テ、満十五年ノ時限満期ニ達スル爆弾ヲ装填《ソウテン》シアルモノニシテ、右期日以後ハ何時《イツ》爆発スルヤモ計《ハカ》ラレズ、甚《ハナハ》ダ危険ニ付《ツキ》、心当リノ者ハ注意セラルルヨウ此段《コノダン》為念《ネンノタメ》警告《ケイコク》ス。
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 とあって、その次行に「記《き》」としるし、それから博士のいわゆる「十五年満期」の「長期性時限爆弾」を「装填シアル物件」が十二個ずらずらと列記してあるのであった。
 このところまでの警告前文を、金博士め何をいいだしたやらと、半ば好奇的《こうきてき》に睡気《ねむけ》ざまし的に、机の上に足などをあげていて、この記事を読んできた連中は、その次の行《ぎょう》へいって、大概《たいがい》呀《あ》っ! と大きく叫んで、その躯は椅子ごと床の上に転がったものである。
 この一見ばかばかしき騒ぎは、新聞読者の余りにも周章《あわ》てん坊《ぼう》たるを証明するわけでもあるが、しかし左記の十二項を読んでいくと、ま
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