は、そのことについて、ぼくと同じ意見である。
 いよいよ夏休みが、あと五週間ののちにせまったときに、サムとぼくは大戦慄《だいせんりつ》をおぼえ、頭のかみの毛が一本一本ぴんと直立《ちょくりつ》したほどである。
 ぼくたち二人は、おそるべき夏休みの退屈からのがれるために、どんなことをしていいのか、それについて毎日協議した。
 その結果、ぼくたちは、ついにすばらしい「考え」の尻尾《しっぽ》をつかんだのである。それはいつもの夏休みとはちがい、こんどの夏休みには、思い切って、さびしいところへ行ってみよう。それには熱帯地方《ねったいちほう》の多島海《たとうかい》がいいだろうということになった。
 熱帯地方の多島海のことは、学校で勉強して知っていた。やけつく強い日光。青い海。白い珊瑚《さんご》。赤い屋根。緑の密林《ジャングル》。七色の魚群《ぎょぐん》。バナナ。パパイヤ。サワサップ。マンゴスチン。海ガメ。とかげ。わに。青黒い蛇(こんなものは、あんまり感心しないね)それからヤシの木。マングロープの木。ゴムの木。それからスコール。マラリヤ。デング熱のバイ菌《きん》。カヌーという丸木舟。火山。毒矢……ああ、
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