それ以下には下らぬようになっている。この程度なら、空気をきれいに洗うことも、酸素をおぎなうことも、また室内を温めることも、それほど大きな消費をしないで、艇は長時間にわたる航空にさしつかえないのだ。
室内には、万一の場合に備えて、気密服や兜《かぶと》も用意してあるが、ふつうの場合は、気密服や気密兜を体につける必要はなく、飛行服だけでよいのだ。だから初期の成層圏機にくらべて、居住はたいへん楽であった。居住が楽であるということは、偵察任務にしろ、操縦にしろ、通信にしろ、また戦闘にしろ、すべてが窮屈でなく、十分に実力を発揮できるということである。居住が楽でないと、たちまち実力の半分とか、三分の一とかに落ちてしまう。そこで飛行機や噴射艇の設計者は、設計のときに楽な居住ができるように努力しなければならぬわけだ。
さて、このへんで、作者は二番艇の内部の模様をお知らせしようと思う。
操縦席についているのは、いうまでもなく山岸中尉だ。そのうしろに偵察員として帆村荘六がいる。そのとなりに横向きになって、電信員の山岸少年が、無線装置に向かいあっている。
おもしろいのは、みんなの座席が、重力の方向に曲
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