もった噴射艇であるかが察しられる。
 出発は明後日の午前五時。
 あと一日とちょっとしか時間がない。研究班は総員でその準備にとりかかった。噴射艇の出発地点というのが、○○航空隊のある村から、山道を五里ほどはいったところで、鬼影山《きえいざん》と、青葉嶽《あおばがたけ》との間にある、忍谷《しのぶだに》という山峡であった。

   決死偵察《けっしていさつ》に出発

 いよいよ宇宙偵察隊が出発する日が来た。その出発地点である忍谷では、夜あかしで準備がととのえられた。
 噴射艇の彗星一号艇と二号艇とは、射出機の上にのり、もういつでも飛び出せるようになっていた。
 この噴射艇は最新鋭のもので、特に宇宙飛行用に作ったものであるから、出発のときは、燃料や食糧をうんと積みこんでいるので、非常に重い。だからどうしても射出機を使わないと、うまいぐあいに出発ができないのだ。
 その射出機も、ふつうのものでは力がたりないので、忍谷で用意したのは、電気砲の原理を使った射出機だった。これなら十分に初速も出るし、また電気でとびだすのだから、硝煙《しょうえん》や噴射|瓦斯《ガス》のため地上の施設が損傷する心配もなか
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