宙偵察隊をつくることに成功した。
 宇宙偵察隊だ。
 五台の噴射艇が揃った。これに乗って成層圏へ飛びあがり、場合によってはさらに高空へ飛び、偵察をやろうというのであった。
 そしてこの偵察隊がまっ先にやらねばならぬことは、行方不明の竜造寺兵曹長の安否をしらべることだった。
 班長左倉少佐が、ある日、明かるい顔をしてもどってきた。それをまっ先に見つけたのは山岸中尉だった。
「班長。いいお土産《みやげ》をお持ち下さったようですね」
「おう」
 少佐はにっこり笑って、帽子と短剣を壁にかけながら、明かるい返事をした。
「まあそこへ掛けろ。いや、望月大尉も呼んできてくれ。帆村君に児玉君もな」
 望月大尉は、やはりこの班員で、先任将校であった。これも戦闘機乗りの勇士で、左の頬に弾丸のあとがついている。
 山岸中尉は、さっそくその三人を呼んで来た。一同は、それと感づいて、みんな、にこにこしている。
 班長は集って来た一同をずらりと見渡し、
「みんなに報告する。噴射艇二|隻《せき》で、成層圏偵察の許可が下りたぞ」
 それを聞くと、一同の顔はぱっと輝く。
「彗星《すいせい》一号艇には、望月大尉と児玉班員
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