った。
緑色の金属――そんなものは、あまり見かけたことがない。私たちの知っている金属といえば、たいてい銀色に光っているとか、さびて黒くなっているとか、朱色になっているのがふつうであった。この緑色の金属は、いったい何という金属であろうか。
死骸のこの緑色にひきつけられて、じっと見つめていた人々は、やがてなんとなく嘔《は》き気をもよおしてきた。熱帯にすむ青いとかげのことを思い出したからであろう。
しかし何よりも人々にふしぎな思いをいだかせたのは、その死骸の顔であった。顔というよりも、ふしぎな首といった方がよいかもしれない。
三本の角《つの》が、頭の上に生《は》えていた。二本なら牛や鬼と同じであるが、それよりももう一本多い。そしてその角は前の方に二本生えていて、もう一本はすこし後にあった。後の角は半分ばかり土の中にめりこんでいた。
その角が、牛の角や鬼の角とはちがい、奇妙な形をしていた。太鼓《たいこ》をうつ撥《ばち》という棒がある。その撥には、いろいろな種類があるが、棒のさきに丸い玉のついた撥があるのをごぞんじであろう。死骸の角は、じつにその撥のような形をしていて、角の先に丸い玉が
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