にきたあるえらい軍人は、ストロボ鏡を通して、天空をのぞいてみてびっくりした。それもそのはずであった。一片の雲もなき晴れた大空に、楕円形の風船みたいなものが浮かんでおり、そしてよく見ると、その風船みたいなものの中に、蟻《あり》くらいの大きさの生物が、さかんに走りまわっているのが見えた。
「見えましたか。その楕円形のものが、帆村荘六の名づけた『魔の空間』です。それから中にうごめいているのは、ミミ族であります」
「ほんとうに本物が見えているのかね。この望遠鏡みたいなものの中に、なにか仕掛があって、絵でも書いてあるのではないか」
と、そのえらい軍人は、半分はじょうだんにまぎらわして、不審な顔をした。
「いや、絵がはりつけてあるわけではありません。絵でないしょうこには、ミミ族はしきりに活動しておりましょう」
「ふむ、なるほど、これは絵ではない。ふしぎだなあ。普通の望遠鏡では見えないものが、これで見るとちゃんと見えるのはどういうわけか」
「はあ。それはミミ族や楕円体は、たいへんはげしい震動をしているので、肉眼では見えません。しかしこの電子ストロボ鏡では、相手の震動がとまるところばかりを続けて見る
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