ギンネコ号の全体はうす桃色の光りで包まれていた。
そればかりか、艇の外へつきだしたばかりの宇宙線レンズが、まるで飴《あめ》のように、だらんと頭をさげて曲がり、それからそれは蝋《ろう》がとけるようにどろどろととけて、なくなってしまった。なんというふしぎであろう。
これでは、怪人ガスコがものすごい声をだしてざんねんがるのも、むりはない。いったいだれが宇宙線レンズをこんなにとかしてしまったのであろうか。いや、そればかりでない。ギンネコ号をうす桃色の光りが包んだときから、ギンネコ号は航行の自由を失ってしまったのだ。つまりいくら舵《かじ》をひねっても操縦はきかなくなり、いくらガス噴射を高めてみても前進しなくなったのだ。
怪人ガスコは、頭をおさえたまま、どうと艇長室の床にたおれた。
このギンネコ号の異変は、救援隊ロケットがやったことであろうか。
いや、そうではないようだ。というわけは、テッド博士のひきいる救援隊ロケットにおいてもギンネコ号の場合にゆずらない異変がおこっている!
九台のロケットは、やはり艇全体がうす桃色の光りでつつまれていた。
操縦がさっぱりきかなくなり、前進もできなく
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