も見おぼえがあり、塗りの色もそうでしたし、さらにまちがいないことは黒バラの目印がついている。黒バラは、『宇宙の女王』号のマークなんですからねえ」
 助教授はそういって、卓子《テーブル》のうえを、とんと一つたたいた。ならんでいる人たちの中には、大きくうなずく者もあった。隊長テッド博士は上半身をまえへのりだした。
「そういうたしかな証拠があるかぎりは………」
 とポオ助教授はいよいよこうふんの色をしめし、
「ギンネコ号はうそ[#「うそ」に傍点]をついていると断定しないわけにはいかない。ギンネコ号は、現場へかけつけたが『宇宙の女王』号を一度も見なかったといっている。うそです、それは。……ギンネコ号はたしかにわが『宇宙の女王』号に出会っている。あるいはその漂流物かもしれないが、それを手に入れている。しかし相手はそれを白状しないのです。まったく、許しておけないゴロツキどもです」
 幹部たちには、助教授のことばの中にある重大性がよくわかった。
「だからです」とこのときポオ助教授はロバート大佐のほうを指し、
「なぜわれわれがギンネコ号のなかにいる間に、あなたはそのてんについて、相手に質問してくださら
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