かごとを事務長にわたして、席を立った。
 このとき事務長は、喜びの顔をするまえに、ふあんな目つきで新聞のページをぱらぱらとめくった。
「では事務長。またおじゃまにあがるかもしれませんから、よろしく。なお、今から二十四時間は、ぜひともいっしょに漂泊《ひょうはく》していただきたいのですが、――これは国際救難法にもとづいての申し入れなんですが、もちろんごしょうちねがえましょうね」
 ロバート大佐は、最後の重要事項をあいてに申し入れた。
「本艇の行動は自由です。しかしいまの件は、わたしがしょうちしました。二十四時間たったあとは、どうするかわかりませんよ。もっとも本艇はできるだけ貴隊の捜査に協力する決心ですから安心してください」
 テイイ事務長は、このように答えた。
 これで会見はおわって、三人の使者は引きあげたのだが、そのとちゅうで、どうしたわけかポオ助教授が「あっ」と声をあげた。
 すると、帆村が、
「これは失礼。うっかりして足を踏んで、すみません。どうもすみません」
 と、助教授のからだを抱えるようにして、ひらあやまりにあやまった。
 まもなく三重扉であった。それを一つ一つ開いてもらい、気
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