さん。ギンネコ号は宇宙採取艇なんですってね」
 三根夫が帆村に話しかけた。
 帆村は、少年のほうへふりむいて、だまってうなずいた。
「その宇宙採取艇というのは、どんなことを仕事にするロケットなんですか」
「ああ、それはね」
 と帆村はひくいが、しっかりした声で甥《おい》のほうへ口を近づけて語りだした。
「この宇宙には、わが地球にない鉱物などをふくんだ星のかけらが無数に浮かんでいるんだ。その星のことを、宇宙塵《うちゅうじん》と呼んでいる学者もあるがね、とにかく名は塵《ちり》でも、わが地球にとってはとうといもので、宇宙に落ちている宝と呼んでもいいほどだ。ギンネコ号のような宇宙採取艇はそういう宇宙塵をひろいあつめるのを仕事にしているロケット艇なんだ。これは商売としてもなかなかいいもうけになるし、われわれ地球人にとっては、たいへん利益をあたえるものなんだ。つまり地球にない資源が、宇宙採取艇のおかげで手にはいるわけだからねえ」
「じゃあ、隕石《いんせき》を拾うのですね」
「いや、隕石だけではない。もっといいものがいく種類もある。なかには、まだわれわれ地球人のぜんぜん知らない物質にめぐりあうことも
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