ろしくない。しかし他の一めんから見れば、それほど心が目的物にむかってもえている証拠であって、若い者なればこその特長である。
気がみじかいという性質を、悪いところへ用いてはよくない。我儘《わがまま》と混同せられるからである。しかし、気がみじかいという性質を、良いところへ用いれば、ずいぶんといい仕事が出来る。今の世に、仕事をしない人間は、無駄であり、邪魔でさえある。気みじかを善用して、どんどん仕事をはこんでいい若い者は、大いにほめてやっていい。そういう気みじかい若者が、少ければ、国家は亡びるのじゃないかと思う。
とにかく、竹見は、気がみじかく、冒険を慕ってどんどんうごいているうちに、秘密の火薬船ノーマ号のうえに、ただ一人取りのこされてしまったというわけである。
“死《し》に神《がみ》”船長
ノーマ号を火薬船だと、観察した竹見の眼力《がんりき》は、なかなかえらいものだった。
煙草《たばこ》を甲板《かんぱん》で吸うと、船員たちが顔色《かおいろ》をかえた。――たったそれだけのことで、竹見は万事をさとったのである。
(火薬船とは、こいつは有難《ありがた》い!)
竹見は、思い
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