「そうだ、そうだ。全くその通りだ。地球の人類にとって、こんな大きな不幸はあるまいなあ」
「そこで、大衝突をやって、地球は粉みじんになってしまうのですか」
「そうだとも。モロー彗星の芯《しん》は、地球の大きさにくらべて八倍はある。これは、さしわたしの話だ。そうして、その心は、どんなもので出来ているか、まだよくはわからないが、とにかく非常な高熱で燃えている、重い火の塊《かたまり》だと思えばいい。そういうものが、地球の正面から、どんとぶつかれば、地球はどうなるであろうか。衝突後も元のままの地球であるとは、もちろん考えられない」
「地球は、幾つかに壊れるのでしょうね。日本と、アメリカとが、別れ別れになったりするのでしょうね。しかしわれわれ人類は、そうなっても、ちゃんと生きておられるでしょうか」
 新田先生は、恐しい想像の中に、思わずおののいた。
「いずれ日本とアメリカとが、別れ別れになると言っても、それが二つの小さな地球の形になるとは思われない。今のところ、わしの考えでは、地球は粉みじんになって、そうして、いくつかの火の塊になってしまう」
「えっ、火の塊ですか。するとわれわれ人類は。……」
前へ 次へ
全636ページ中99ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング