にかく、だまされたと思って、出かけるか」
蟻田博士は、そこに立ちながら医者や看護婦の顔色を用心ぶかくじろりじろりとにらみつつ、一歩一歩玄関の方へあるいていった。
新田先生は、けわしい眼つきの蟻田博士を、なだめすかして、ともかく博士邸へつれもどった。
「けしからん。実にけしからん」
と、ぶつぶつ言いどおしだった博士も、久しぶりに、わが家の前に下りたつと、急に機嫌がなおったようであった。博士は、すたすたと鉄門をあけて、邸内へはいっていった。番をしていた警官の一人が、おどろいたような顔をして、裏手からとびだして来たが、蟻田博士は、その方へ、じろりとけわしい目を向けた。
「け、けしからん。わしの屋敷を、刑務所にするつもりだな。わしはゆるせん」
新田先生はまた困った顔をしたが、一しょについて来た警官が、番をした警官を呼んで、博士の相手にはならず、そのまま自動車に乗り、ぶうーつと警笛をあとに残して、帰ってしまった。
それでも博士は、まだ心をゆるめず、
「おい、新田」
「はい」
「お前、そのへんを、よく見てまわれ。もし人間がいたら、どんな奴でもかまわないから、箒でぶんなぐってやれ」
「はい
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