わるくてしかたがなかったが、王城内の火星人は、なかなか礼儀もこころえており、また新王や副王からの言いつけもあって、千二たちに対し、たいへん、ていねいにしていた。
 千二は、このとき、ふと、たいへんなことを思い出したのであった。彼は、新田先生のそばへよると、小さいこえで、
「あのう、先生。もう時刻は、すぎたのではないでしょうか」
「なんだね、時刻がすぎたとは」
「先生、わすれているのですか。モロー彗星が地球に衝突する時刻は、もうすぎたのでしょう。地球は、どうなったでしょうか。こなごなになって、それから……」
 千二は、そのあとが言えなかった。そうして悲しくなって、思わず先生の胸に、あたまをうずめてしまった。
「そうだねえ、地球は……」
 先生も、そのあとが、言えなかった。
 すると、蟻田博士が、この有様を見て、二人のそばへ、よって来た。
「お前たちは、なにをめそめそやっているのかね。ロロ新王に、おめでとうを言う日が来ているのに、泣いたりして……」
 先生は博士に言った。
「千二君も私も、地球のことを思い出して、悲しくなったのです。今ごろは、地球はモロー彗星のために、粉々になって、宇宙に飛
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