夢かとばかり喜んだ。
「おう、千二君じゃないか。どこへ、いっていたんだ。しんぱいしていたよ」
新田先生が、かけだして来て、千二の手をぐっとにぎった。
「ああ、先生」
と言ったまま、千二は、そのあとを言うことが出来なかった。火星の上でまよい子になり、これからどうしようかと思いながら、きみのわるい洞窟へはいっていったところ、そこで思いがけなく、新田先生たちに、あえたのであった。こんなうれしいことはなかった。
博士も、奥から千二の方を見て、にこにことわらっていた。
千二は、手みじかに彼が丸木にさらわれたことや、その丸木が、いまペペ山を地底から、ばくはつさせるために、じまんの地底戦車隊へ出動命令を出したことなどを話したのであった。
それを聞いていた新田先生は、いみありげに、蟻田博士の方へ顔を向けた。
すると博士は、千二のそばへやって来て、その肩へ手をかけながら、
「千二君。お前は、その地底戦車隊が、いよいよペペ山の下を、ほりはじめたところを見たかね」
と聞いた。千二は首をふって、
「いや、僕は、そこまで見ていなかったのです。丸木が、近づく戦車隊の方に夢中になっているすきをうかがっ
前へ
次へ
全636ページ中620ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング