丸木艇は、なかなかスピードが出るなあ」
「先生、佐々刑事はどうしたのでしょうか」
と千二は、ふと、佐々刑事のことを思い出した。
「ああ、佐々刑事か。あの人は、どうしたろうな」
と、新田先生も、佐々刑事のことを思い出して、望遠鏡から、目を放した。
いつだか、佐々刑事あてに無電を打ったけれど、一向へんじがなかった。
「先生、あの人は火星の宇宙艇にのっているはずですが、べつに用意もしていないから、火星についても外に出られないでしょうね」
千二は、前からそのことを心配していたのだ。
「さあ、そのことだよ。火星は、空気がうすいから、そのままでは外に出られないわけだ。成層圏をとぶ時のように、酸素吸入器をつけて、下におりるより、仕方がないだろうね。そのままでは、酸素が足りなくなって、たおれてしまうだろう」
「そうなると、佐々刑事は、いよいよ気の毒ですね。きっと困っているのでしょうね」
ひょっとしたら、佐々刑事は、火星へついたはいいが、そこで一命をおとしたのではないかと、千二は、そこまで思ったけれど、それは言うのをひかえた。新田先生が、また心配をするといけないと思ったからであった。
「先生、
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